士業が司法書士を紹介するときに気をつけたいこと

司法書士という職業があります。
税理士や弁護士であれば日常的に司法書士の先生とお付き合いがありますから、どういう仕事か、どのくらいの報酬をいただいているか、よく理解しています。

ただ、一般のお客様にとっては「司法書士と接するのは初めて」という方も多いのです。
ですから、司法書士の先生のちょっとした対応や印象によって、お客様が不満を抱かれることもある。実際、私もそのような場面に何度も立ち会ってきました。

今日は、私自身の経験をもとに、司法書士の先生をご紹介するときに気をつけたい点をまとめてみます。

※日本橋にて


第一印象で決まることがある

公正証書遺言の作成や、相続登記の場合は、初対面の印象がとても大切です。
ラフすぎないか、ヒゲをはやしていないかなど、紹介者の方も気を遣う必要があります。大切な資産の内容を教えるわけですからね。

逆に、ベンチャー企業の登記支援をお願いしたときは、ジャケットにノーネクタイで気さくに話せる司法書士の先生は、評判がいいかもしれません。

紹介する方も、案件に合ったスタイルの司法書士先生を紹介することが大切です。


事務所の雰囲気は侮れない

私はこれまでに、弁護士・司法書士・税理士・社労士・行政書士と色々な先生の事務所を訪ねてきました。

その中で印象に残っているのは、応接室にまで資料が山積みになっている事務所がありました。
「この事務所に預けて大丈夫だろうか」と心配になるお客様もいるでしょう。

タバコの匂いが染みついた事務所もありましたし、変な標語のポスターが貼ってあって場違いな感じがするところもありました。

事務所の広さや場所はお客様はあまり気にしません。

ただ、以外と見られているのが、置いてある書籍。
「石橋先生も、逆説の日本史を読んでるんですか!私も愛読しているんですよ~。」
と言われたときは、ちょっと嬉しかったです(^^ )

「逆説の日本史(Amazon)」

ですから、変なタイトルの本を、お客様の視界に置くのはやめましょう。

「普通に座って話せる雰囲気かどうか」がとても大事だと実感しました。


相続登記では間に入ると喜ばれる

相続税申告と相続登記は同時に進むことが多いです。
あるとき、お客様が戸籍関係の資料を揃えるのに苦労していて、司法書士の先生も困っていました。

そこで私が相続税申告でお会いするタイミングで必要資料をお預かりして司法書士の先生に送ったら、とても感謝されました。
お客様も「一度で済んで助かりました」とおっしゃっていました。
それ以来、積極的にそのようなお手伝いをするようにしました。

なお、税理士が気をつけるのが「固定資産評価証明」です。
こちらは司法書士が相続登記に使いますが、税理士は建物評価に使いますので、こちらの資料は司法書士先生に取得してもらって、その写しをPDFでもらうようにすれば、税理士の方も工数が減ります。

「司法書士と直接やり取りしてください」という、いわば丸投げのやり方もありますが、私自身は最低限フォローに入るようにしています。

※某地方都市にて。


費用の説明は必須

知人がマンションを購入したとき、「司法書士って何もしてないのに高い!」と愚痴をこぼしていました。
私からすると「司法書士先生への報酬は数万円で、ほとんどが税金(登録免許税等)なんだけどな…」と思うのですが、一般の方には伝わっていません。

ですから私は紹介する時点で「司法書士の先生の報酬は数万円で、残りは国に納める税金なんですよ」と説明するようにしています。
ほんの一言で印象は全然違います。


納期の説明を忘れない

「知り合いの税理士に相続税申告をお願いして、一緒に司法書士を紹介してもらったけど、書類を渡して2週間たったけど、相続登記について、まだ何の連絡もない。一体どうなってるの?」
そう、知人から言われました。

相続登記は法務局に出してから2〜3週間はかかります。混んでいればさらにかかります。
司法書士の先生からその説明がなかったため、お客様は「放置されている」と感じてしまったのです。

私は「法務局の処理に時間がかかるんですよ」と説明しましたが、最初に先生から一言あれば防げた不満でしたよね。


まとめ

司法書士先生は常に何十件も登記を抱えていますから、ストレスも多くタバコを吸ってしまうこともあるでしょう。

また、数十年も同じ仕事をしていると、つい説明を忘れてしまう、またはする時間がない、といったこともあるでしょう。

ただ、会社設立にしろ相続登記にしろ、多くの人は一生に1回か2回しか経験しないことなのです。

ですから、大変僭越ではあるんですが、法書士先生にも以上の点に気をつけていただきたい、というのが長年実務をしてきて感じることです。

司法書士先生への不満は、紹介した士業の方にも跳ね返ってきます。
だからこそ、紹介する士業側も司法書士の業務を理解して、必要に応じてフォローに入ることが大切だと、私はいつも感じています。

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