立派な説明資料が必要な場合と、そうでない場合

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税理士は、税務署に出す申告書(税金の計算書)だけでなく、色々な説明資料を作ることがあります。

※ここでの「説明資料」とは、お客様に対する「説明書」「報告書」「提案書」を指します。

最近はエクセルやパワーポイントの機能も上がっていて、綺麗な表や資料を作ることも可能です。

ですが、開業している税理士は、これらの資料に、

「力を入れすぎない(=時間をかけ過ぎない)」

ということも大切です。

お客様は、そんな資料を必要としていないかもしれません。
※資料よりも、「悩みを聞いて欲しい」「もっと訪問回数を増やして欲しい」ということをお望みかもしれません。

今回は、説明資料について、考えてみました。
※守秘義務の関係で、事実を少し変えて書いています。

※東京ドームにて。

立派な説明が必要な場合

以前、ある事業をされてらっしゃるお客様が、複数の銀行から多くの借入をしていました。

その借入について、複数ある銀行のうちの一つが、そのお客様に対して、

「今後20年間の返済計画を出してほしい。そして、その資料を持って、返済について説明に来て欲しい。」

というリクエストをしました。

そして、そのお客様から、

「石橋先生~。自分で作るの、ちょっと不安なんでお願いしますよ~」

というご依頼がきたので、私が資料を作ることになりました。

この場合は、パワーポイントなりエクセルなりで、きちんとした説明資料を作ることが必要なるでしょう。
というのも、
銀行はその資料を、他の部署(審査や複数の部署)にあげると思われるからです。

その説明資料の良し悪し(今後の事業計画や、返済計画)によって、今後の融資がどうなるのか決まるかもしれません(もちろん、それだけではなく、社長様個人の人柄や担保状況にもよると思いますが)。

こういう場合は、税理士の腕の見せどころ?ですから、見やすく、かつ、分かりやすい説明資料を作って、銀行さんにビシッと説明しましょう。

ただ、ここでの注意点ですが、資料を作ったら、必ず社長様と税理士とで、最低1回~2回程度、事前の打ち合わせをしてください。

以前、このようなことをぶっつけ本番でやったことがありました(社長さんがどうしても忙しいと言うことで、会う時間がなかったんです…)
その場合、銀行さんからある点を突っ込まれ、ちょっと、私も社長様もしどろもどろになり、焦ったことがありました。
※何とか切り抜けて、無事に融資継続となりましたが。

このような場合は、時間をかけて立派な説明資料作った方が良いでしょう。

立派な説明資料がいらない場合

以前、会計事務所での勤務時代に、こんなことがありました。

あるお客様(会社)の社長様がお亡くなりなりました。
そのお客様は以前からの顧問先様です。

ですが、いろいろな事情があって、相続税申告は我々ではなく、大手銀行さんからの紹介で、某大手税理士法人様が引き受けることになりました。
※なぜ、我々がお受けできなかったかは、ナイショです(^^)

その某大手税理士法人様は、やはり頭の良い方達が揃っているので、立派な説明資料を作って、お客様(残された奥様とそのお子さん達)にお渡しになりました。

ただ、ここで問題発生します。相続税申告が終わった後、そのお客様が、

「某大手税理士法人には、相続税申告の報酬を払わない!」

と、言い出されたのです。

そんな話しがでてきて、よくよくそのお客様からお話しを聞きました。
すると、次のようなことが分かりました。

  • 某王手税理士法人の担当者は、合計2回しか会いに来てくれなかった
  • こちらの話しを全然聞いてくれず、税金の説明だけして帰った

大手事務所は、常に採算を考えて仕事をします。

ですから、例え、相続税申告報酬が150万円~200万円と、比較的高額になったとしても、作業量、人件費との兼ね合いで、訪問回数が2回程度になってしまうこともあるのです。

来た回数で仕事を評価する訳ではないのですが、その残された奥様からしてみれば、

「もっと、私の悩みを聞いて欲しい」

というお気持ちが強かったのでしょう。

このようなお客様には、立派なプレゼン資料は必要ありません。
その作成する時間を、「訪問回数」と「聞く時間」に費やせば良かったんです。
※ただし、大手事務所の一担当者に、そんな裁量権はありませんから、仕方ない部分があるんですが・・・。

※東京ドーム前にて。

開業税理士は「お客様が何を求めているのか」を瞬時に判断すべき

大手税理士法人、個人で開業している税理士、一長一短あるでしょう。

大手は、やはり安定感が違います。
誰が担当になっても一定以上の業務水準にありますし、大型案件にも対応できます。

ですが、開業税理士も良いところはあって、お客様のお悩みを聞いたり、その人生経験から、税金以外の視点をも含めてアドバイスができます。

我々、開業税理士に求められているのは、次のような点ではないでしょうか。

  • 共感力(お客様のお悩みをお聞きして、一緒に考える力)
  • 柔軟さ(不要な資料は作る必要ありません)
  • 長期的視野(数十年後のお客様はどうなっていかれるのか)

税金計算だけで考えるなら、大手事務所にお願いした方がいいでしょう。
そう言われないように、我々、開業税理士も、税金の勉強だけでなく、様々な人生経験をつむ必要があるかもしれませんね。

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