地主・不動産オーナーのお手伝いで税理士が気をつけるべきこと

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地主・不動産オーナーと一口に言っても、色々なタイプの方がいらっしゃいますので、この記事では、地主・不動産オーナーを次のように定義します。

  • 比較的ご高齢の地主さま・不動産オーナー
  • 家族に賃貸不動産の管理を任せるのは少し不安

このようなお客様について、税理士がお手伝いするときは、どのようなことを注意すべきなのでしょうか?
私なりに気をつけていることを挙げてみました。

※長女(5歳)が町内会のお祭りで射的をしました。

税理士本人が相談にのる

お客様で、個人の弁護士先生が何名かいらっしゃるんですが、なかにはレス(返信)がすごく早い先生もいらっしゃって、質問や連絡をすると、数分後に、

「分かりました」
「了解です!」

などと、即座に返信が来る方がいらっしゃいます。

また、クライアントから質問が来ると、

「今から行きます!」
「Zoomで1時間後に打合せできます!」

と、対応がめちゃくちゃ早い弁護士先生も多いようです。

そんなの、いまどき当たり前じゃないか、と思われる方もいるかもしれませんが、ここで税理士(又は税理士事務所職員)の勘違いがあります。

話しは少しそれますが、

「法律相談は弁護士資格のあるものしか対応できない」

と言われます。
※弁護士法にも規定されています。

これは、何も弁護士先生が法律業務を独占したいから、そうしている訳ではありません。
法律相談は、高度な知識・経験が求められるのです。

古い歴史の弁護士事務所には、「番頭さん」といったような職員の方がいらっしゃいます。
勤務歴30年くらいで、経験豊富で書類業務はほぼできる。番頭さんはそんなイメージでしょうか。

ただし、弁護士以外は法廷に入れませんし、相手弁護士とやり取りできませんし、裁判官や書記官さんとやりとりできません。
ですから、やはり弁護士先生と番頭さんとは、能力的にも経験的にも決定的に違うことになります。

ですから、最初にお伝えした、経験豊富な弁護士先生「本人」が、すぐにクライアントにレスするというのは大変貴重な訳です。

これを税理士業界に置き換えて考えてみます。

地主・不動産オーナーのお手伝いをする際は、

「不動産に関する全ての税務を一通り理解しているのが大前提」

ということが言えます。

さらに、不動産業者の提案の是非について助言したり、銀行融資の返済計画、さらには様々な場所にお客様と同行(不動産業者、金融機関、証券会社等)する可能性もあるわけです。

海千山千で経験豊富、自分で全てを判断できるお客様であれば大丈夫なのですが、そうでないお客様の方がほとんどですから、お手伝いするのは税理士本人であることが必須といえるでしょう。

※長女と、お菓子のお寿司を作りました。

粘り強く対応する

地主・不動産オーナーのお客様については、不動産という資産の性格上、「待ち」の姿勢が求められます。

  • 借家人が立ち退かないので建替えができない
  • 次の相続までどのような対策をすれば良いのか分からない
  • 売却の相手先が理由をつけて急にキャンセルしてきた
  • 不動産業者の対応が悪いので途中で交代してもらい、また最初から計画することになった
  • 建替えの融資の審査がおりなかった

お客様から相談があるたびにお答えし、それについて「その後、どうなりましたか?」を繰り返し行うわけですが、そうすると、税理士の方も真剣にやればやるほど、時間と労力を使います。

また、地主・不動産オーナーのお客様は、高齢の方も多いものです。
そうすると、前回のお話をお忘れになっていることも多いですから、これまでの経緯を改めてご説明差し上げる必要があります。

しかしながら、「その後、どうなりましたか?」は、実務ではとても大切なんですよね。
問題を棚上げにせず、常に意識して解決する姿勢が大切です。

これを実践するためには、お客様ごとに、何を質問されたか、その都度、きちんと記録を取るべきなんでしょうね。

ご家族のことをお聞きする

先祖代々の地主様や不動産オーナー様のなかには、ご自身が病気をされている、ご家族が病気をされているといったことも多いものです。

地主・不動産オーナーのお客様は、不動産を次の世代に承継させなければいけませんから、ご家族の病気が不動産の承継計画に影響を与えることになります。

また、ご家族が不仲なことも、ままあります。

これらは、聞きにくいことですが、税理士は聞かなければなりません。
家族構成が、税金や資産形成に影響を与えるわけですから。

ただ、馬鹿正直に、

「ご家族に病気の方はいらっしゃいますか?」
「皆さん、仲は良いのでしょうか?」

とお聞きすると、お客様の中にはご不快になられる方もいるでしょうから、税理士にはコミュニケーション力も求められるといえるでしょう。

※妻がパスタを食べてきた、と写真を送ってきました

銀行融資のお手伝いする

地主・不動産オーナーの中には、銀行を目の敵にしていらっしゃる方もいます(^^ )

まあ、話しを聞けば、そのお気持ちも分かります。

あるとき、お客様と某メガバンクの担当者に会った時です。
返済が苦しい時期、厳しい口調で50歳過ぎの担当者に「何やっているんですか!」と攻められ、私も嫌な気持ちになりました。

しかし、完済後、再度訪ねたら、別の若い担当者が「〇〇様にはもっと借りて頂かないと(^^ )」と、手のひらを返して対応してきました。

前任者からの引継書に記載もれがあったのかもしれませんね。
「オレが厳しく詰めておいたから、後はよろしくな」
みたいな引継ぎ事項が書かれていなかったんでしょうね。
※書いてあれば、もっと借りてくれなんて、言えないでしょうからね(^^ )

話しがそれましたが、地主・不動産オーナーにとって融資は切っても切り離せません。
最近は、特に、大規模修繕工事を行うために融資を検討される方も多いものです。

その際、ご高齢になられているオーナー様は、ご自身で融資申込書を書けない場合もあるでしょう。
また、自治体によっては、そのような融資について、制度融資として利子の補助を行っているところもあります。

これらについて、書類記入や制度融資を探すお手伝いも、税理士に求められてくることになります。

多くのお客様を持たない

ここまでのことを実践するには、まず、税理士本人でないと実行できないということが、お分かり頂けるかと思います。

また、税理士本人が対応するにしても、手厚く、細かなお手伝いをするためには、お客様お一人お一人に、かなりの時間が必要です。
そうなると、一人で何十件のお客様を担当するというのが不可能になります。

多くの顧客を担当する量産型税理士(ガンダムで言うと大量生産型モビルスーツ「ジム」みたいになるんでしょうか)では、スキルが身につかないですし、何より、楽しくないと思うんですよね。
※お客様に貢献できている!お客様をお助けすることができた!という、いわばやり甲斐がないと思うんですよね。

これに対して、一人で何でもできる税理士(ガンダム)が、お客様(ホワイトベース)をお守りする方が、やり甲斐を感じるといえるでしょう。
※ただし、的が自分だけになるので、ザク(不動産業者)、ドム(銀行)などから、攻撃が集中するかもしれませんが・・・(-_-)

税理士はお客様から顧問料を頂いています。

以前、仲間の税理士から、

「オレはお客様から多めに報酬をもらっているけど、それはいわば、用心棒代だと思っているんだよね。何かあったとき、最優先でお客様のために動きます、ってことのさ」

という話しをされたことがあります。

私の顧問料はそんなに高くないのですが(^^ )、税理士は社会的信用があり、かつ、知名度のある職業です。
その税理士が、お客様の用心棒になり、内から外からお支えすれば、色々な問題解決が図れるでしょう。

そのためには、税理士に求められるものも多くなります。
税理士になるのは大変ですが、なった後も大変。
これからも、お客様に貢献するために、頑張っていきたいと思います。

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