「ドラクエ」と「相続税」

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「相続税って、どれくらい難しいんでしょうか?」
「相続税のリスクはありますか?」

同年代の同業者(税理士)から、こう聞かれることがあります。
私は、

「ドラクエと同じです。一歩一歩、経験値を積めば習得できます。ですが、結構、長い道のりです」

と、お答えしています。

※日本橋高島屋にて。ポケモンフェアのピカチュウ。

相続税業務をドラクエに置き換えると?

中学生くらいに、ドラゴンクエストにはまりました。

ドラゴンクエストとは、テレビゲームのことです。
最終目標(ドラゴン)を倒すため、勇者が一歩一歩、経験を積み(=経験値を積み)、成長していく物語です。

勇者である自分は、どんどん成長していきます。

ゲームであれば、攻略本がありますから、

「今、自分のレベルは35だ。そうすると、ドラゴンまでは無理だけど、しりょうのきしくらいは倒せるな!」

と、客観的に判断することができます。

ですが、実際の仕事ですと、そうもいきません。
自分のレベルは、自分には、なかなか分からないのです。

私が、相続税業務をドラクエ(ドラクエ1のモンスター)に置き換えると、こんな感じになります。

「相続税の納税額合計」

  • 納税額合計100万円以下・・・スライム
  • 納税額合計500万円以下・・・キメラ
  • 納税額合計1,000万円以下・・・ゴーレム
  • 納税額合計5,000円以下・・・だいまどう
  • 納税額合計1億円以下・・・ドラゴン
  • 納税額合計5億円以下・・・・竜王(変身前)
  • 納税額合計5億円超・・・・竜王(変身後)

キメラまでは何とかいけるが・・・

※天丼やの「てんや」店頭にて。

相続税の実務経験が全くなく、独立したとしましょう。
その場合でも、弱いモンスター(=納税額が少なく、財産も多くない相続)であれば、何とかなると思います。

相続税の論点は、主に次の2つになると思います。

  • 財産評価
  • 遺産の分け方

「財産評価」は、土地の金額を計算する、株式の金額を計算するといったことです。
これには熟練?の技術が必要となりますが、財産の金額が大きくなければ、初心者、ベテランの差が、あまりつかないでしょう。

「遺産の分け方」ですが、相続税は遺産の分け方で相続税が変わる場合があり(配偶者の税額軽減、小規模宅地等)、かつ、二次相続(2回目の相続)も含めたトータルでの税金を考える必要があるため、結構難しいです。
ですが、納税額が少ない場合、遺産の分け方の影響も出にくいので、何とかなるんではないでしょうか。

その分岐点ですが、私は、

「キメラ=納税額合計500万円」

が分岐点だと思っています。

相続税の経験があまりない税理士が独立し、最初の依頼がきた。
相続税を資産してみると、相続人全員のトータルでの納税額合計が500万円を超えるようだ・・・。

その場合、受任するのを、ちょっと考えてみる必要があります。

経験が少ない状況で受任する場合は、どうするか?

私は平成23年に独立しました。
※開業して7年が経過します。

前職は普通の会計事務所でした。
そのため、恥ずかしながら、相続税はもの凄く詳しい、という訳ではありませんでした。
※今でも、詳しいのレベルに達していないかもしれませんが・・・(>_<)

ところで、私が開業したとき、目標がありました。それは、

「数年後に大きな相続がおきそうなお客様のために、相続税に詳しくなっておこう」

というものでした。

その相続は、試算すると

「竜王(変身前)=納税額5億円以下」

になりました。

これから竜王と戦おうと思っているのに、当時の私の状況は次のようなものでした。

  • レベル・・・8
  • 装備・・・銅の剣
  • 使える魔法・・・ホイミ、ギラ

ドラクエ1をプレイしたことがある方なら、いかに絶望的な状況か、ご理解頂けるのではないでしょうか(T-T)

これでは、討ち死にするだけです。
なので、経験値を積む必要があります。
※実は、前職の会計事務所勤務時代に、「竜王(変身後)=納税額合計10億超」の相続税計算をしたことがあります。ですが、やはり、今振り返ると、色々と到らない点があったと、反省しております。

税理士が開業後に、相続税実務の経験値を積む方法として、次が考えられます。

  • セミナーに参加する
  • 相続税に詳しい税理士と交流を持つ

セミナーに参加するのが、一番、手っ取り早いと思います。
ですが、注意も必要です。それは、

  • 事前に予習しておく(=最低限のことは本を買い、机上で勉強しておく)
  • 講師の先生にどんどん質問する

ということです。

※詳しくは「税理士が良いセミナー・良い講師に出会うためには?」をご覧ください。

また、相続税の知識ある税理士と、交流を持つことも大切です。
相続税は、範囲が広く、業務を続けると、常に「迷い」が生じます。
※「迷い=判断で悩むこと」は、実務を続けていくうえで、必ず発生します。

この迷いは、税務署の職員に相談しても、解消されません。
詳しい税理士に相談し、解決する必要があるのです。
※事実、私も、判断に悩んだときは、詳しい先生に有料・無料の相談にのってもらっています。

ちなみに、これらを頑張って7年間実践した、私の現在の装備は、次のようになっております。
※ちょっと、盛りすぎかもしれませんが(‘-‘*)

  • レベル・・・45
  • 装備・・・炎の剣(ロトの剣までには達していません)
  • 使える魔法・・・ベホイミ、ベギラマ、ルーラ(タクシーを使うので)

無事に、竜王(=変身前)を倒せたことは、ご報告しておきます(^0^)

相続税の実務は大変だが、人間の幅が広がる

相続税の実務は大変です。

単に、税金を計算するだけではないからです。
※税金計算だけでも大変ですが。

最適なアドバイスをするためには、お客様の家庭内の事情を、きちんと理解することが必要です。

ここでの理解とは「以前に自分(税理士)が経験していること」をいいます。

他人が普通か、普通でないかは、自分が基準となって判断します。
自分の「基準」以外のものは普通ではない、と判断してしまうでしょう。

ですが、人によって「基準」は様々です。

  • 若いときに離婚されて、ずっと一人暮らしされていた方
  • お子様がずっと病気だった方
  • ご家族がケンカされて疎遠である方

これらの方は、以前の自分(=独立前の自分)であれば、自分の基準で判断すると「普通ではない」となっていたでしょう。

ですが、お客様のお悩みを解決していくなかで、自分も成長し、他人の基準も自分の基準の一部になってきました。
そうすると、以前の自分では「普通でなかったこと」が「普通のこと」になり、より親身に、かつ、的確なアドバイスができるようになってきます。

さらに、相続税の実務を積みますと、この経験が、自分の家庭生活にも生きてきます。

「どう行動すれば、どう家族に響くか?」

今の行動が、数年後~数十年後の、家族構成、資産構成に現れてきます。
色々な家庭の、色々な行動の結果を、何十~何百も見ることができる。
こんな仕事、税理士しかないでしょう。

ドラクエから相続税を紐解いてみました。
私も更なる経験をつみ、竜王(変身後)を倒すべく、頑張っていきたいと思います。

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