相続税申告書を効率的に印刷する方法とは?

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相続税の計算が無事に終わりました。

そうすると、次は相続税申告書を印刷するだけになりますが、印刷は結構大変です。

※場合によっては、印刷だけで半日かかることもあります。

ですので、この印刷作業をできるだけ効率化したいところですが、なかなか上手くはいきません。

できるだけ「早く」「正確に」印刷するために、何ができるのか考えてみました。

そもそも印刷する必要があるのか?

相続税は電子申告に対応していません。
電子申告できない理由は色々あると思うのですが、その理由のひとつに、

「大量の添付書類を提出する」

ということが挙げられると思います。

私が添付書類を一番多く提出したときは、つぎのようなものでした。

このファイル。
1つにつき500枚まで収納できますが、このファイル換算で4つ~5つ分(=合計約2,000枚相当)を税務署に提出したことがあります。

※そのときは、郵送だと梱包作業が大変なので、キャリーバッグ(通称コロコロ)に入れて税務署に持っていきました。受付の女性が重くて大変だったので、奥から、腕まくりした男性職員が応援?に来てくれたのが印象に残っていますが(^^ )

ここまで多いことは希なんでしょうが、この大量の書類をPDFでスキャンすると、数百メガバイトくらいのデータ容量(場合によってはそれ以上)になると思います。
これをみんなが国税庁サーバに送信したら、大変なことになるでしょう(^^)

以上のような理由から、税務署に提出する相続税申告書は、もうしばらくは紙で提出することになるでしょう。

また、お客様(相続人)には、税務署の収受印がある申告書控えをお渡しすることになりますが、(相続人様はご高齢であることも多く、PDFファイルを開けないことも多いので)やはり紙でお渡しすることになると思います。

そのため、印刷部数は「依頼者(相続人数)+2部」になります。
依頼者(相続人)が3名の場合は、

  • 税務署への提出用・・・1部
  • 依頼者(相続人)への返却用・・・3部
  • 税理士の控用・・・1部

となり、合計5部を印刷することになりますので、かなり時間がかかります。
1部につき500枚ある場合は、「500枚×5部=2,500枚」で、2,500枚をミスなく漏れなく印刷する必要がある訳です。
※ですから「印刷だけで半日かかる」場合もあるんです。

なお、相続税申告書の作成手順は次の記事を参考にしてみてください。

印刷したものをコピーするのか?最初から複数印刷するのか?

税務署に提出する申告書は、慎重に印刷するでしょう。

その慎重に印刷した申告書を、そのままコピー機でコピーして控えを作れば良い、といった考え方もあるかもしれません。

※以前は、私もそうしていました。

業務用のコピー機ですと、次のようなモノクロ・カラーを自動判別する「自動」モードがあります。

これは、

「原稿内容を自動で判定して、モノクロであれば白黒モードで、カラーであればカラーモードでコピーする」

という内容のものです。

「原本(=税務署提出用)だけしっかり印刷して、控え(=お客様用・税理士用)は自動モードで一気にコピーしてしまおう!」

としてもいいのですが、そうすると、次のような問題があります。

  • カラー(特に黄色)を正しく読み取ってくれないことがある
  • 印字品質が落ちる

黄色のラインマーカーがついた用紙を白黒コピーすると分かるのですが、黄色はラインマーカーの影が映りません。
※ですから、書籍を購入してラインマーカーする際は、コピー時に影がうつらない黄色がお薦めです。

これは自動モードでも同じで、例えば、通帳に黄色で引いたラインマーカーを自動モードで読み込むと、「カラー」ではなく「モノクロ」であるものとして、カラーで印刷してくれないことがあります。

※ゼロックスの複合機は高性能なので、あまり起きませんが、某コピー機では、結構おきました。

また、印字品質が落ちることも問題です。

名義預金の検討結果を、通帳に直接書き込んで提出する方も多いでしょう。
この鉛筆原稿をコピーしたものを、再度コピーすると、極端に印字品質が落ちて、読みにくい原稿になってしまうことがあります。

ですので、私は、5部印刷するのであれば、広い机の上に、5部を一気に印刷してしまうことにしています。

ドキュワークスで「束ねる(たばねる)」

ドキュワークスというソフトがあります。

これは、アドビのPDFソフトと、ほぼ同じようなものですが、特徴は、

  • ファイル容量が軽い(少ない)
  • ファイルを簡単に整理することができる

といったことが挙げられます。

私が一番使う機能が「束ねる(たばねる)」というものです。

※大量のファイルを1つのファイルにまとめることができる機能です。

束ねると、束ねたファイルの左上に「クリップマーク」がつき、束ねたファイルであることが分かります。

例えば、土地評価資料をたばねておけば、各ファイルごとに印刷せず、一気に5部印刷することができますので、便利です。

A3の書類はどうするか?

ほとんどの書類はA4ですが、少しだけA3の書類が混ざっています。

具体的には、測量図や建物図面といった、土地・建物関係の書類です。
※法務局に登記されている書類はA3サイズとなっています。

大量のA4書類のなかに、少しだけA3書類が混ざっていると、印刷スピードはガクンと落ちます。
※A3書類は、折りたたんでA4サイズにする必要があるため。

そのため、「A3→A4」に縮小して印刷したいところではありますが、私は、土地の測量図は原則として縮小印刷せず、そのまま(つまりA3サイズのまま)印刷するようにしています。

というのも、測量図の縮尺が変わってしまい、税務署の方がチェックしにくくなってしまうのではないか?と考えているからです。

ただ、建物図面は三角スケールをあてることはないと思いますから、縮小印刷してA4に合わせたりしています。

印刷をカラーモードにする際の注意点

ドキュワークスでファイルを束ねて、一気に印刷する。
複合機で印刷する場合に、気をつけていただきたい点があります。

プリンター(複合機)の印刷設定画面で、印刷を強制的に白黒にするのか、自動でカラー・白黒を判定するのか、選択する画面があります。

私は、普段は「白黒モード」にしています。

この「白黒モード」では、白黒原稿のみならず、カラー原稿も、全て「白黒」で印刷されます。

複合機で一番怖いのが、

「白黒で印刷したつもりなのに、カラーで印刷していた」

というものです。

万が一、間違って印刷すると、白黒とカラーとでカウンター料金に10円~30円程度の開きがありますから、数分間で数千円以上もソンをしてしまうかもしれません。
※ですから、私は、普段は白黒モードにしているんです。

ゼロックスの複合機は優秀で、カラーモードで白黒原稿を印刷しても、白黒としてカウントします。

しかし、以前使っていた某複合機では、(機種が古いこともあったのですが)カラーモードで白黒原稿を印刷すると、白黒カウントではなく、カラーとしてカウントしてしまうことがありました。

これは、複合機の機メーカー・機種によって異なります。
できれば、ゼロックスのように一気通貫(カウンター料金ために、いちいち白黒・カラーを切り換えない)したいので、複合機を買われる前に、その点も注意した方がよいでしょう。

できれば業務用複合機で印刷する

相続税申告書はカラー部分がありますから、カラー印刷ができるプリンターなり、複合機が必要になります。

私は以下の理由で、複合機で印刷することを勧めています。

  • 紙詰まりがほとんどない
  • 2枚おくりがほとんどない
  • 印字品質がキレイ
  • 省スペースになる
  • A3が印刷できる

A3カラーレーザープリンターも多く発売されていますが、いずれも、業務用コピー機に品質(紙詰まり、印字品質)は敵わない、と感じています。
※使われているドラム等の部品、構造が違うんだと思います。

紙詰まりすると「どこまで印刷したんだっけ?」となります。
また、2枚おくり(白紙2枚を重ねて印刷してしまうこと)も時間ロスにつながります。
※事実、今使っているゼロックス複合機は、A4紙詰まりが一度もなかったと記憶しています。

ですから、A3カラーレーザープリンターではなく、複合機で印刷することをお薦めしています。

なお、毎月、大量に印刷する方は、複合機を新品で購入した方がいいです。
※新品で購入した方が、カウンター料金を値切れるためです。

質の高い用紙を使う

税理士事務所の所長先生の陥りやすい罠として、

「これからはコスト削減だ!まず、一番使うコピー用紙から始めよう!」

として、紙をケチることがあります。
※場合によっては、裏紙を使うこともあります。よく詰まるんですよね(-_-)

私は、品質の高いコピー用紙を使っています。

この用紙、適度な厚さがあって、かつ、白くていいかんじです。

これまでの経験で、紙が薄すぎたり、厚さが均等でないと、プリンターに詰まりやすくなると感じています。

安い紙、高い紙といっても、1枚あたり0.2円~0.4円程度の違いです。
詰まったときの時間効率を考えると、ある程度の紙を使った方が良いといえます。

※以前、あるお客様に、この用紙で印刷した資料をお渡ししたら「こんなに白い紙って売ってるんだ~」と、感動されたことがあります(^^)

税理士が印刷するしかない

申告書を一気に印刷したら、一日おいて、翌日以降に再チェックすることにしています。
※すぐにチェックしたら、「正しいだろう」という思い込みがあるためです。

このとき、まず事務員さんにお願いして、パラパラめくってもらい、紙の枚数を確認してもらいます。

そのあと、

  • 正本(=税務署提出用)と控えの内容は同じか
  • きちんと印字できているか
  • 間違った資料を挟んでいないか

といったことを、自分自身でチェックしています。

相続税申告書は、内容が難しく、各書類のつながりもあるため、申告書を作成した税理士自身で印刷しませんと、危ないと感じます。

※作成者以外の人が印刷すると(例えば事務員さんに印刷してもらうと)間違う可能性があると思います。

税理士の時間単価は高く、かつ、貴重です。
できるだけ効率よく、かつ、正確に印刷する方法について考えてみました。
単なる印刷作業と考えるのではなく、効率化できるところは、どんどん効率化してみましょう!

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