内容証明郵便と税理士業務との関係

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皆さんは「内容証明(正式名称は内容証明郵便)」と聞くと、どのようなイメージを持たれるでしょうか?

  • もらったらちょっとビックリする
  • 何か法律的な文章ですか??
  • 普通の人には関係ないよね

こんなイメージではないでしょうか?

私自身、実家の商売で内容証明を出したこともありますし、逆にもらったこともあります。
※まぁ、出すのも、もらうのも、あまりしたくはないですね(^^;)

なので、(勝手にですが)街の税理士のなかでは、内容証明に少し詳しいのかなと思っています。今回は、内容証明について考えてみました。

※守秘義務のため内容を若干変更して記載しています。また、今回の記事は法律的な内容を含むので、実行前に、必ずご自身で、または法律専門家等に内容を確認してから行ってください。

※某郵便局の窓口にて。

みんな内容証明を出している

内容証明とは、簡単に言えば、

「相手に○○という内容の文章を出したことを証明するもの」

というものです。

例えば、アパートを貸しているAさんが、家賃を払わないBさんに、

「家賃を払ってください」

という文章を送っても、Bさんが

「そんな手紙、見てないよ!」

と言えば、それまでなんです。

※書留であれば、届いたことの証明にはなりますが、その手紙を本人が読んだかの証明にはなりません。

ですが、内容証明郵便で送れば、そんな言い訳は通用しません。
例え、家族や従業員が受け取ったとしても、原則、本人が受け取って読んだものとして、扱われます。
※このあたりは、法律の専門家である弁護士先生等に確認してください。

「内容証明郵便を出す→裁判(または調停)」

という流れに移行する可能性もあります。
そのため、記録の残る、内容証明郵便で出すと言うことは、大切です。

内容証明というと、我々一般人には、何かハードルが高くて、めったに出さないようなイメージですが、実際はよく出されています。

私自身、普通の書留や、ゆうパックを出しに、近くの大きな郵便局に行くことがあるんですが、その窓口で、よくこんな呼び出しがあります。

「内容証明でお待ちの**商事の方はいらっしゃいますか~?」
「内容証明でお問い合わせの、**法律事務所の方、窓口にお越しください~」

内容証明を出せる郵便局は決まっています。
※大きめの郵便局でしか、出せないようになっています。

都心部の会社が集まっている郵便局の待合スペースでは、内容証明で順番待ちをしていることも多いです。
そうです。我々が知らないだけで、みんな結構、内容証明を出しているんですね。

※横浜にて。

内容証明の出し方

「相手に家賃を払ってもらいたい」
「相手に貸したお金を催促したい」

そんな目的で、内容証明が使われますが、実際に出したことがある人は少数派だと思います。

内容証明郵便を出す際は、次のものを準備する必要があります。

  1. 文書×3通
  2. 差出人の印鑑
  3. 封筒
  4. 差出票
  5. お金

1.文書×3通

こんな感じで、同じ文書(手紙)を3通用意する必要があります。

この文書にはルールがあります。

  • 原則として「横書き=1行20字以内行×1枚につき26行以内」で記載する必要がある
    ※他にも書き方があります。
  • 差出人の名前の横に印鑑(認印で可)を押す
  • 2枚以上になる場合は割印を押す

※詳細は郵便局のホームページでご確認ください。

「郵便局HP:内容証明ご利用の条件等」

この3通の文書は、

  • 1通は相手に送られる
  • 1通は郵便局にそのまま保管される
  • 1通は自分の控えになる(郵便局の収受証明スタンプが押される)

ということになります。
※同じ文章が、公的機関である郵便局に一定期間保管されることになります。

差し出すときに大切なのは「配達証明をつける」ということです。
※配達証明とは「*月*日に相手に配達したことを証明します」といことです。

内容証明郵便は、法的効力を持つ文章で、使いようによっては大きな力を発揮しますが、大切なのは

「相手が受け取ってくれないと意味がない」

ということです。

内容証明に慣れている上級者?は、受取拒否をしたりします(^^;)
※または、郵便局からの呼び出しに居留守を使ったりします。

そうなると内容証明の本来の効果は得られません。

また、後日、裁判等になる場合も考えて、相手にきちんと届いているか、いつ届いたかを確認する必要があります。最近は、窓口の人の親切になったので、

「配達証明を付けますか?」

と聞いてくれますが、いまだに聞いてくれない人もいます。

配達証明を付けませんと、いつ相手に届いたか分かりませんから、内容証明で出す意味がないということにもなりかねません。
必ず、付けるようにしましょう。

2.差出人の印鑑

内容証明で出す文書には、差出人の名前の横に認印を押します。
ですので、文書に印鑑押してから郵便局に行けば、印鑑は郵便局へは持参する必要はありません。

ですが、万が一、文書が文字数ルールをオーバーしていたり、住所に記載ミスがあった場合は、訂正印を押すことで、その場で訂正可能です。
※差出時に郵便局員の人が、ルールに沿った内容証明かどうかの確認をします。そこで間違いが見つかった場合、印鑑があれば、その場で訂正できます。

そのため「差出人の認印を持っていった方が良い」と、市販の書籍には書いてあります。
ですが、私なりの結論は、

「どうしてもその日に出したい内容証明があれば、差出日の午前中に持っていくこと。そして、万が一、間違いがあったら、訂正して印刷し直して、また午後に郵便局に持ち込むこと」

という方がいいのではないか、と思います。

訂正印を押すと文書が汚くなりますし、何より、訂正印を押して手書きで加筆するのも面倒ですから。

そのため、内容証明を出す場合は、午前中に郵便局に行くことをオススメします。

3.封筒

郵便局の窓口に、同じ文書を3通持っていくと、職員の方が内容をチェック(文字数がオーバーしていないか、3通とも同じ内容なのか等)します。
※このチェックには10分~20分程度かかります。

そしてチェックが完了したら、職員の方が、

「この3通のうち、1通を私の目の前で封筒に入れて、封をしてください」

と言ってきます。

※この目の前で封筒に入れた文書が、相手に届くことになります。

そのため、封筒の表には相手の住所・氏名を、裏には差出人(自分)の住所・氏名を、事前に記載しておく必要があります。

なお、この住所・氏名ですが、内容証明で送る文書内の住所・氏名と一致させておく必要があります。
※間違っていると、郵便局の方から、封筒住所を書き直すように指導されます。そのため、予備の封筒を持っていくと良いかもしれません。

4.差出票

差出標とは、複写式(カーボン用紙)のもので、2枚綴りになっていて、1部を郵便局が保管、残り1部を自分で保管することになっています。

この紙は、郵便局窓口で手に入ります。
※書留を出すときも使います。

注意点としては、さきほどの封筒と同じく、「お届け先のお名前」の欄に、法人名だけでなく、代表者の肩書き、名前まできちんと記入するということが挙げられます。
※内容証明の宛先どおりに記入します。

例えば、こんな感じです。

「株式会社鈴木商事 代表取締役 鈴木一郎」

きちんと記入しませんと、郵便局の方から注意されるかもしれません。
気をつけましょう。

5.お金

内容証明を出すときは、(普通の郵便よりも)お金がかかります。
文章の枚数にもよりますが、普通は千数百円~数千円で済みますので、費用面の心配はいらないでしょう。
内容証明を出すときは、現金も持参しましょう。

内容証明でお薦めの本

大型書店に行くと、内容証明の書き方を解説する本は、それこそ、(言葉は悪いですが)腐るほどあります。

そのなかで、私が分かりやすいな~と思った本は、次のものです。

この本は、出版されてから8年ほど経過しており、その改訂版が2019年5月に発売されるようです。
旧版の内容は、具体的な書き方(ここは**が大切だから漏らさないように、といった内容)が書かれており、大変参考になります。
新版も旧版の内容が踏襲されるはずですから、出版されたら、私も再度購入しようと思っています。

この本もオススメです。
先程の本よりも、更に簡単な言葉で説明してあり、法律を全く知らない人でも出せるようになっています。

以前、内容証明について調べる機会があり、関連書籍は何冊も購入したのですが、この2冊が分かりやすいかな~、と個人的には思っています。

内容証明を出すときはプロに依頼した方が良い

みなさん、内容証明と言えば、まず弁護士先生を連想するのではないでしょうか?

内容証明は色々な場面で使われています。
例えば、次のような場合です。

  • 売掛金、貸付金の回収
  • 家賃・地代の未払分の請求
  • 損害賠償
  • 離婚関係
  • 遺留分の減殺請求(相続で自分の取り分が全くない場合)

簡単な内証証明であれば、本を読めば、誰でも書けます。
ですが、個人的には、お薦めしません。
というのも、「その先の展開」が、専門家(弁護士等)でないと分からないからです。

相手先とトラブルになり、どうしても内容証明を出さなければならない。
そして、内容証明を出す。
すると、(普通であれば)相手から、次のような反応があります。

  • すぐに解決する(=未回収の売掛金等を払ってくれる)
  • 相手から内容証明で反論の文書が来る
  • 普通郵便で反論の文書が来る
  • 電話が来る
  • 受け取り拒否される

すぐに解決すればいいんですが、解決しない場合は、どうすればいいんでしょうか?
また、相手が上手(うわて)だと、受け取り拒否されるかもしれません。
※受け取り拒否や、不在続きで、内容証明が相手に届かないと、本来の効果が発揮できません。

内容証明を出す際、ベテランの弁護士先生に依頼しておけば、その先の展開(裁判になるのか、解決までどれくらいかかるのか)が、ある程度読めますから、依頼者も安心です。

内容証明の作成を弁護士先生に依頼した場合の費用ですが、普通は数万円~十数万円程度ですから、プロにお願いした方が安心です。

※某郵便局内のパトレイバー。

税理士が知っておくべき内容証明とは?

ところで、税理士も内容証明と縁?があります。
それは、お客様が、次のような文書を出すことがあるからです。

  • 債権放棄通知書
  • 債権譲渡通知書

債権放棄通知書とは、その名の通り、「あなたに対する債権(貸付金を)を放棄しますよ」という文書です。

よくあるんですが、会社が赤字で、社長様個人のお金を会社に貸し付けていることがあります。この場合、社長様に万が一があれば、相続税の問題が出てきます。

会社が赤字なら、会社の株価は債務超過で0円と評価されるでしょう。
ですが、会社に貸したお金は、(例え、返ってくる見込みがほとんどなくても)評価額が額面で評価されてしまいます。
※会社に1億円貸した場合、回収可能性がほとんどなくても、額面の1億円で相続税を計算するのが原則です。

ですから、このような場合は、社長様の生前に、(税務署からの疑義がないように)記録の残る内容証明郵便で債権放棄通知書を出して、債権放棄するということが必要かもしれません。
※会社に欠損金があるのが前提ですが。

また、社長様が会社に貸し付けているお金(=貸付金)を、お子様に「贈与」することも可能です。
この場合、民法467条の「債権譲渡は確定日付のある証書で行う」という要件を満たすため、内容証明で「債権譲渡通知書」を社長様から会社宛にだすことになります。
そして、貸付金をお子様に少しずつ贈与すれば、相続税を節税できるかもしれません。
※債権譲渡通知書だけでなく、親子間での贈与契約書も作成しておいた方が良いでしょう。

最初に申し上げたとおり、内容証明は色々な場面で使われています。

先日、ニュース番組を見ていたら、あるコンビニオーナーさんが、本部の意向に従わないことがあったようで、「これが本部から来た警告書ですよ!」といって、その警告書?なる文書が、チラッと画面に映りました。

もちろん、モザイクはかかっていましたが、明らかに「内証証明郵便」の書式で作られた文書でした。
※大手コンビニエンチェーンですと、しっかりした法務部・顧問弁護士が内容証明を作りますので、普通の人は太刀打ちできないでしょう・・・。

このように、我々が知らないだけで、内容証明は結構、使われています。
ですが、私は「内容証明は最終手段である」と考えています。

電話一本、普通のお手紙一枚で済むお話しもあります。
それを内容証明で出すと、受け取った方は、どう思うでしょう?

「あの野郎!オレを怒らせやがって!」

「なに、この書類?怖いわ~」

このような気持ちが、普通の人の反応です。
ですから、内容証明は極力出さずに、出す場合は、必ず弁護士等の専門家に相談するようにした方がいいでしょう。
※最近は、弁護士大量増員の関係で、イケイケの弁護士先生、実務経験の少ない弁護士先生もいらっしゃるようです。そうすると、すぐに「内容証明を出しましょう」ということにもなりかねません。慎重かつ経験豊富な弁護士先生にお願いするといいでしょう(^_^)

内容証明と縁のない?人生を歩む。
それを心掛けたいものですね。

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