土地の「地積」で間違えやすいポイント

税理士の変更で、新しく私が担当することになった場合、過去の相続税申告書の写しをお預かりすることがあります。
また他の税理士先生から、「相続税の申告書をチェックしてほしい」というご依頼をいただくこともあります。

その相続の土地評価を確認する時、私が重視しているのが「地積」です。

「地積って間違えることあるの?」と、法人税申告が多い年配の税理士先生から以前聞かれたことがあります。
間違えることはあります。それも、それなりの頻度で。

今回は、簡単そうで間違えやすい「地積」について、考えてみました。

※とある境界標

相続税における地積とは

相続税の土地評価は、ざっくり言うと「路線価 × 地積(面積)」なわけですが、どんなに不整形地などの評価で評価減を頑張ったとしても、元々の基礎となる地積が間違っていては元も子もありません。

その地積ですが、財産評価基本通達には次のように書かれています。

財産評価基本通達(8)
地積は、課税時期における実際の面積による。

この通達の解説は『財産評価基本通達逐条解説』という書籍に載っています。

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この本の解説をかいつまんでいえば、
「できるだけのことをして土地の面積を求めてください。」ということになります。

要は、課税庁としては正しい面積で申告してもらうのはもちろんなんだけれども、実際に測量するにはお金や時間がかかるでしょう。ですから、できるだけのことをして、できるだけ正しい地積で申告してくださいね、ということを表現していると、自分なりに解釈しています。

それでは「できること」とはどのようなことでしょうか。
私が実践しているのは次のようなものです。

登記事項証明書の表題部を見る

表題部には、地積更正登記や、地番の分筆の履歴が載っています。
分筆したということは、新しく切り出された土地については測量していますから、その土地の地積は基本的には正しいということになります。

また、新しく切り出されて残った土地の方は、今から20年ほど前までは測量が不要でした(今は新しい土地・古い土地の両方とも原則として測量が必要になります)。ですからいつ分筆しているのかを確認する必要があります。

さらに、地積更正登記をしているにしても、今から数十年前に行っているようであれば、測量器具が今ほど発達していませんから、若干の誤差はあるかもしれません。場合によっては閉鎖謄本を確認する必要もあるでしょう。

ですから登記事項証明書は、所有権や抵当権だけでなく、表題部の細かい履歴も含めて確認する必要があります。

現地で各辺の距離を測る

現地を見に行くことを考えず、公図だけで不整形地の計算をして土地評価をしている場合があります。色々な制約があって現地に行けないこともあるでしょう。
※例えば北海道の、評価額が低い(数百万円台)の土地を見に行くというのは、なかなか悩ましいところです。

ただ、都心部にある路線価が高いような土地は、きちんと現地調査をするようにしましょう。平成の後期に測量しているようであれば、その面積はほぼ正しいですから、地積が間違っているというのはほとんどないでしょう。

一方で、全く測量していない土地(法務局に測量図の備付けがなく、かつ、現況測量図も手元にない場合)については、縄伸び(登記簿よりも実際の面積が大きい)や、縄縮み(登記簿よりも実際の面積が小さい)が起きえます。

ここでの問題は、縄伸びよりも縄縮みにあります。
縄伸びは少なく申告するわけですから税金が安くなります(もちろん間違った申告ですから、正しい申面積で申告する必要がありますが)。

しかし縄縮みは、実際よりも大きく申告してしまうことですから、税金を高く払ってしまうことになります。

現地で、公図の各辺の長さ(※物理的に全ての各辺は測れないので、道路に接している部分だけでも)と実際の長さを比較して、1~2割以上違うのであれば、縄伸びや縄縮みを疑うべきでしょう。

多いのは縄伸びと言われていますが、縄縮みも、たまにあります。そうすると税金を多く払っていたことになりますから、お客様からクレームを受けるということになりかねません。

私は次のようなツールを使って現地確認をしています。

ムラテックKDS ウォーキングメジャー 1KS(WM-1KS)

こちらをコロコロして、土地の各辺の長さを測るようにしています。注意点としてはスーツを着て名刺を持っていくことでしょうか。
以前、Tシャツでコロコロ測っていたら怪しい人だと思われて、周辺住民から色々聞かれてしまいました。そんな時、スーツであれば「相続関係で所有者の〇〇様からご依頼を頂いて調査しております」とお伝えすれば、ご納得いただけるでしょう。短時間で測る方がいいです。ずっとモタモタしていると色々な人から目をつけられてしまいますからね。
場合によってはレーザー距離計を使うのもいいでしょう。

三角スケール

シンワ測定(Shinwa Sokutei)
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公図しかない場合は、事前に三角スケールで各辺の長さを測って公図に書き込んでおくと良いでしょう。そうすることで現地確認の時間を短縮できます。長居すると怪しまれますからね。

お客様から建築図書(図面)の写しがないか聞く

お客様は聞かれたことしか答えません
ですから比較的最近に建物が建っている案件については、お客様に「設計時や建築時の書類が残っていませんか」とお聞きすることも大切です。そこにバッチリ敷地の面積が書かれていて、登記の面積と大きく差があるということは、ままあるものですからね。

役所で建築計画概要書の写しをもらう

最近建てられた建物であれば、役所に行けば建築計画概要書なる書類をもらうことができます。こちらには敷地と建物の概要や寸法が書かれていますから、これが登記事項証明書の地積と大きく違うようであれば、正しいと思われる方(通常は建築計画概要書)の地積で申告することを検討しましょう。


縄縮みしているようであれば、費用はかかりますが、確定測量して地積更正登記をし、固定資産税の金額を下げるといったことも検討すべきかもしれません。
※役所は原則として確定測量(地積更正登記)をしないと、減額してくれません。なお、確定測量の際は隣地関係者からの境界確認が必要となるので、お隣さんとの仲の良さも聞く必要があるわけですが…。

他にも色々な注意点はありますが、とりあえず今思いつくものを書き留めてみました。地積一つとっても色々な注意点があるものですね。注意深く、一つ一つのお仕事を丁寧に仕上げていきたいと思います。

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