税理士に限りませんが、どんな仕事でも、
「より早く、より正確に、より良い内容で」
仕事をする必要があります。
そのためには、研鑽し、自分の能力を高める必要がありますが、「目標」がないと、人間は頑張れないものです。
そんなときは、自分の能力を「数値化」して考えることをお薦めしています。
※Switch版「信長の野望・創造」
ゲームの世界では「数値」が全て
「信長の野望」というゲームがあります。
※私は20年以上前からやっていて、最初にプレイしたのはMSXというパソコンでした。
このゲームは、数ある戦国大名の中から1人を選び、天下統一を目指す、という内容のものになっています。
そのなかで、各武将が「数値化」されて登場します。
例えば、木下秀吉(後の豊臣秀吉)は、こんな感じです。
「木下秀吉(身分:織田軍の足軽)」
- 統率:94
- 知略:97
- 武勇:78
- 政治:99
この数値は、その戦国武将の業績・功績をゲーム会社が勝手に?100点満点で評価したものになります。
ですが、あながち間違いともいえません。
秀吉は政治に長けており(太閤検地、墨俣一夜城の築城)、知略もあり(竹中半兵衛が軍師だった、贈り物等の根回し力もすごかった)、統率力もあった(信長の死後、家臣団をまとめた、信長死後の中国大返しもあった)。
だが、武勇(1対1の局面や、相手を圧倒するほどの威圧感)は、あまりなかった。
そんな評価から、この点数がついたんだと思います。
ゲームの世界では、登場人物の全てが「数値化」されています。
税理士の能力を数値化すると・・・
税理士の能力を数値化するには、まず、どのような項目で点数をつけるのか?ということを考えなくてはいけません。
とりあえず、私に勝手に点数をつけると、こんな感じになるんではないでしょうか?
「石橋將年(身分:開業税理士)」
- 統率:50
人を雇ったり、命令するのが苦手なため、低いと思います。 - 知略:85
心配性で、失敗しないように色々と先回りし、根回しや工作をするため、結構高いと思います。 - 武勇(営業力):35
イケイケドンドンの(失敗を恐れない)拡張型の税理士にはなれず、営業力もなく、税務判断も保守的なことが多いため、低いと思います。 - 政治:60
大勢いる組織でやっていく自身がなく、人の気持ちを考えすぎ、気疲れしてしまうため、こちらも低いと思います。ですが、開墾(地道に作業すること)が得意なため、その点で60点だと思います。 - 誠実:99
自分で誠実というのはどうかと思うんですが、多くの税理士と接してきて、自分は真面目で誠実なほうだと思います。
(100点でないのは、どうしても誠意が伝わらないお客様をお断りすることがあるためです) - 税法力:85(相続税89:法人税70:所得税80:消費税70くらいのイメージ)
他の税理士からの相談機会も増えているので、街の個人税理士のなかでは、税法力(税金の知識)は、結構高い方だと思います。
よく、「開業に向いている税理士」といった言い方をしますが、これには2つのタイプがあります。
- 統率力と武勇(営業力)が高く、人を率いるのが得意な人
- 統率力も武勇も低いが、誠実や税法力が高い人
前者は、人をどんどん雇って(ある税理士先生の名言で「1人やめたら2人とれ、2人やめたら3人とれ」というものがありますが・・・)、大量生産型で仕事をしていくスタイルです。
逆に後者は、知識や誠実さを武器に、少人数のお客様に税理士が直接対応するというスタイルです。
最近の税理士の開業パターンとして、まず、なんとなく1を目指し、挫折したり疲れたりして2のスタイルに落ち着く、というものが挙げられます。
※私もそうでした(^^ )
※早朝の秋葉原にて。
足りない能力は「受任しない」と「ITで補完」で対応する
2のスタイルの税理士(統率力がないため?少人数で仕事をしていこうという税理士)には、弱点があります。
それは、1のスタイルの税理士のような、マンパワーが必要な仕事(多くの人員による大量の処理が必要な仕事)ができない、ということです。
※例えば、大量の領収書・伝票を短期間で入力する、といった仕事です。
ただ、このようなマンパワーが必要な仕事の単価は、年々下がっていますし、モチベーションも上がりません。というのも、(自分以外の)誰がやっても、結果はほぼ同じになるからです。
※逆に、相続税ですと、税理士の腕によって結構、税金が変わることがあるんですよね。
私のお知り合いの弁護士先生で、次のような方がいらっしゃいます。
この弁護士先生、立派なご経歴で某大手法律事務所に勤務されていらっしゃいます。
(年齢は30代半ば)
ですが、口癖が、
「石橋先生~。我々は夜中遅くまで働いて、もう土方(どかた)みたいですよ~。突発的な仕事(急な合併案件等)が入ったら、上司の命令で正月返上で働かされますし。寝ていないんですよ~」
と、毎回、疲れた顔をしていらっしゃいます。
以前、私はこの弁護士先生に「独立されないんですか?」とお聞きしたことがあります。
すると、その弁護士先生は、
「確かに独立したい、っていう希望はあるんですが、自分で仕事と取ってきたり、人を雇ったりはできませんし、全てのリスクを負えるかっていうと、二の足を踏んじゃうんですよね」
とおっしゃいました。
この弁護士先生、「法律力」は100点だと思います。
※話しを聞くと、ホントに頭がいい人っているんだな、と思いますし(^^ )
ですが、「武勇(営業力)」と「統率」に不安を感じられているんだと思います。
それぞれの点数が足りない場合は、その点数をとりあえず「60点」にすれば良いんだと思います。
※全てに満点をとれませんので。
点数アップの方法ですが、次のようになると思います。
統率が足りない場合
自分に統率力(人を率いていく能力)がないと感じる場合は、そもそも人を雇わなければいいんです。
別の弁護士先生で、チャットワーク、クラウドでのデータ管理、スキャン代行サービス、秘書代行サービス(電話対応から簡単なエクセル集計までしてくれる)をフル活用して、お一人で開業されている先生もいらっしゃいます。
※ただし、税理士の場合は、細かな事務入力が必要なのと、守秘義務の関係(お客様のお金のデータを預かる)ので、パートさんくらいは雇わなければならなくなるでしょうが。
ですから、ITでの効率化を学ぶことが大切です。
効率化できれば、統率が低くても(=人を雇わなくても)対応できます。
知略が足りない場合
ここでの知略とは、
「仕事や人間関係で失敗しないように先回りして考えたり、根回ししたりする能力」
を指します。
開業すると、仕事の知識(弁護士先生であればいかに判例を知っているか、税理士であればいかに実務を知っているか)だけでは通用しません。
※最初はみんな「オレの知識量はかなりのもんだ!絶対に通用する」なんて、思ってたりするんですよね(^^)
ですが、それだけではいけません。
人間関係も大切です。
例えば、私が大切だと思っていることのなかに、「お客様への手土産」があります。
例えば、愛犬家のお客様には、お菓子以外にワンちゃんへのお土産も買っていく。
そうすれば、税金の難しい話しも、スーとお聞き頂けるのはないでしょうか?
※戦国時代でも、信長・秀吉は、高価な茶器や絵画を贈ったというではありませんか。
これは何もずるいことではなく、「お客様に喜んでいただく」という気持ちから生まれる自然な行動です。
仕事以外で、何をすればお客様に喜んで頂けるのか、足をとめて考えてみましょう。
武勇が足りない場合
私は、武勇(営業力)は、生まれつきのものだと思っています。
不動産屋の営業社員が、武勇の最たるもの?です。
彼らはスゴイですよね~(^_^;)
いらない商品(不要な不動産)を、何とか売り切るわけですから。
自分に営業力が足りないとお感じの税理士先生・弁護士先生についてですが、これはITで解決できます
月並みですが、ホームページを作ればいいんです。
注意点ですが、ただ作るだけではダメです。
上記の記事でも説明していますが、記事に「魂」を入れなければいけません。
その「魂」とは、ご自身の実務経験・苦労話といった、血肉が通った記事です。
それは開業「後」に初めて培われるものですから、開業したら、日々、記事を更新していきましょう。
政治が足りない場合
開業後は政治力(社内で上司にペコペコしたり、部下を励ましたりする能力)は必要ありません。
ですから、「自分には政治力がないな~」とお感じの弁護士先生、税理士先生は、開業するなり、より居場所のいい事務所に転職するなりした方が良いことになります。
誠実が足りない場合
誠実とは何でしょうか?
私なりに定義すると、
「人に優しくする力」
だと思います。
最近、義理のお母様(奥様側のお母様)と話していて、お母様が笑いながらこうおっしゃったんです。
「結局、人に親切にすることが、一番トクなのよね~」
名言ですね(^^)
そのとおりだと思います。
ですが、これって、実体験をつんでないと、なかなか理解・実践できないと思います。
※その実体験とは、幼少期の家庭環境によるところが大きいと思いますが・・・。
ですが、これから新たに誠実さ(優しさ)を身につけることも、不可能ではありません。
とりあえず、
- 電車で人に席を譲る
- エレベーターで開けるボタンを押してあげる
といった、身近な親切を実践すれば、時間がかかりますが、誠意(優しさ)が身につくと思うんですよね。
「ペイ・フォワード」という映画があります。
天才子役の「ハーレイ・ジョエル・オスメント」君が、
「自分が受けた善意を、その受けた人にではなく、他の人に返すと、世の中の人々が幸せになっていく」
ということに中学1年生で気づき、それを実践して世の中が良くなっていく、という映画です。
アメリカのような一神教の世界でも、日本のように、
「神様(お天道様)は見ている」
という発想があるんですね。
もちろん、誰にも彼にも親切にする必要はありません。
※誠意が通じない相手というのは、いるものです。
ですが、大量生産型の事務所ではなく、個人対応型の事務所にしていくのであれば、誠実さは必須です。
「人に親切にする」を意識して実践しましょう。
税法力が足りない場合
いくら「オレは知識がある」と威張っていても、世の中は広いんです。
上には上がいます。
※特に、東京ではそうです。
特に、税金の知識って、とても難しいと思います。
他の分野のことは軽々しく言えませんが、一つの比較の方法として、大型書店の書籍コーナーの広さで比較できると思います。
新宿、池袋、大手町にはビジネスマン向けの大型書店があり、そこには、各種専門家(弁護士先生、司法書士先生、弁理士先生、社会保険労務士先生、行政書士先生、土地家屋調査士先生)向けの実務書籍コーナーがあります。
それらを巡ると、だいたい、税理士向けの実務書籍コーナーが圧倒的に広いんです。
※もちろん、需要と供給の関係もあると思うんですが。
税金の難しいところは、他の専門知識の理解が必要になるということです。
例えば、次のようなイメージです。
- 相続税・・・民法、建築基準法、都市計画法
- 所得税・・・民法、借地借家法
- 法人税・・・簿記会計、会社法
ですから、「税法の全てを理解している」という人は、この世の中にいらっしゃらないと思います。
※相続税で超有名な先生のセミナーで、その先生が「わたし、消費税のことなんて全然分かりません。相続税が廃止になったら、消費税で有名な**先生に、教えてもらおうと思ってますよ~」とおっしゃっていました(^^)
「税法の全てを理解している人はいない」ということなので、私なりに「税法力」を定義するのであれば、
「調べ方を知っている人」
ということになります。
これは何も、私だけの意見ではありません。
仕事ができる人ほど、効率的な調べ方を知っています。
※優秀な弁護士先生なんか、もっと色々な調べ方を実践されていると思います。
私なりに、購入した書籍は独自にデータベース化してますし、類書に書いてないことがあったら、大きい付箋をつけるようにしています。
また、良書があったら、二版、三版も買うようにしています。
そうすると、どんどん調べる時間が短縮され、最終的には、ある程度のことなら即答できるようになってくるんですね。
ですから、本当の税法力は開業しないと身につかないと思います。
※ということは、「自分には知識が足りない」と思って独立を躊躇している税理士先生・弁護士先生は、すぐに独立した方が良いという結論になりますね(^^)
※最近利用しているシェアサイクル。
「税額」以外も数値化して考える癖をつける
税理士は、よくも悪くも「数値化」された世界で生きています。
※その最たる例が「税額」です。また、経営成績や経費削減といった顧問先の数値に触れる機会も多いです。
ですが、それ以外にも数値化を意識した方がよいことがあります。
- 顧問先様との親密度
・・・顧問開始からの年数、いくら報酬を頂戴しているか - 自分の仕事の作業時間
・・・工程数の見直しやITスキルで時間短縮できないか - 日々の移動時間
・・・自宅から職場、顧問先との距離や訪問頻度 - 職場の人間関係
・・・(勤務している人の場合は)嫌な上司の数、嫌な部下の数、クレームの件数
これらを、日記や手帳に、今日の日付とともに「数値化して(点数にして)」記録していき、半年や1年ごとに見直すんです。
そうすると、自分の仕事、職場環境、心情、気持ちが「数値」で振り返ることができ、これからの自分の指針にすることができると思います。
私は常々、「ゲームからも学ぶことがある」と思っています。
※「信長の野望」は、数百名いる各武将の歴史を4行ほどでまとめているので、その意味からもオススメです(^^)
「数値化」することを意識して、日々すごしてみましょう!